第12回 問題25
【問題25】Aさん(85歳)は重度の認知症であり、長男家族と同居しながら、訪問介護を利用していた。高熱を出したので別居している長女が付き添って受診したところ、ひどい褥瘡があり、これまでなぜ放置していたのかと医師に注意された。このため、長女が長男に相談せず、一方的に介護療養型医療施設に入院させた。長女は、面倒を見ていなかったと長男を叱責し、介護保険証等を渡すように求めたが拒否された。長女は、今後どのように対応したらよいか、地域包括支援センターに相談した。地域包括支援センターの対応として、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1 長女の申立てに従い、長男に対して、長女に関係書類を渡すように説得した。
2 まず、担当していた介護支援専門員から事情を聞いた。
3 今後の対応を検討するため、長男、長女及び介護療養型医療施設の計画担当介護支援専門員を交えて話し合いを持つことにした。
4 兄弟の財産争いの可能性もあるので、センターは所管外であるとして相談を断った。
5 地域包括支援センター運営協議会を開催し、方針を決定した。
【用語解説】
●認知症
認知症とは、脳の疾患により、記憶、思考、見当識(時間・場所等の感覚)、理解、計算、学習能力、言語、判断を含む認知機能の低下した状態をいいます。意識の混濁はなく、認知機能の障害は通常、慢性、進行性で、情動の統制、社会行動あるいは動機づけの低下を伴います。臨床的には、これらの症状が、日常生活を損なう程度に達した状態が6カ月以上続いたときに、認知症の診断が考慮されます。従って、認知症は複数の症状を呈している状態であって疾患名ではありません。
認知症を引き起こす原因疾患には、1 脳出血、脳梗塞、脳動脈硬化のような血管病変、2 アルツハイマー病、レビー小体病、前頭側頭葉変性症のような脳細胞の変性疾患)、3 梅毒、AIDS 等の感染症、4 頭部外傷、5 薬物中毒などがあります。
●褥瘡(じょくそう)
褥瘡(床ずれ)は、皮膚に持続的圧迫が加わるために血流障害が起こり、その結果として皮膚や皮下組織が死んでしまった状態(壊死)。
適切な予防とケアを行うと褥瘡(床ずれ)の発症リスクは半分以下に抑えられますが、ゼロにすることはできません。発症してしまった褥瘡(床ずれ)に対して適切な治療を行えば、100%ではありませんが治癒させることも可能。
●介護療養型医療施設
療養病床等を有する病院または診療所であって、当該療養病床等に入院する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、介護療養施設サービスが提供される施設のこと。
●地域包括支援センター
地域包括支援センターは、公正・中立な立場から、
(1)総合相談支援
(2)虐待の早期発見・防止などの権利擁護
(3)包括的・継続的ケアマネジメント支援
(4)介護予防ケアマネジメント
という4つの機能を担う地域の中核機関です。
運営主体:市町村、在宅介護支援センターの運営法人(社会福祉法人、医療法人等)その他市町村から委託を受けた法人
職員体制:保健師(又は地域ケアに経験のある看護師)、主任介護支援専門員、社会福祉士の3つの専門職種又はこれらに準ずる者
【解説】
【解答】2,3