第14回 問題4
【問題4】介護保険制度について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 医療保険者は、第2号被保険者の保険料を社会保険診療報酬支払基金に納付しなければならない。
2 年金保険者は、第1号被保険者の保険料を国民健康保険団体連合会に納入しなければならない。
3 厚生労働大臣は、介護報酬の算定基準の設定について、介護給付費審査委員会の意見を聴かなければならない。
4 都道府県は、居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の上乗せについて定めることができる。
5 市町村は、条例により一定の場合に、第1号被保険者のほか、その世帯に属する者に対しても過料を科す規定を設けることができる。
【用語解説】
●第2号被保険者
国民年金の加入者のうち、民間会社員や公務員など厚生年金、共済の加入者を第2号被保険者といいます。この人たちは、厚生年金や共済の加入者であると同時に、国民年金の加入者にもなります。加入する制度からまとめて国民年金に拠出金が支払われますので、厚生年金や共済の保険料以外に保険料を負担する必要はありません。 なお、65歳以上の被保険者、または共済組合の組合員で、老齢基礎・厚生年金、退職共済年金などの受給権がある人は第2号被保険者とはなりません。
●社会保険診療報酬支払基金
保険医療機関(薬局)からの診療に係る医療費の請求が正しいか審査したうえで、健康保険組合(保険者)などへ請求し、健康保険組合から支払われた医療費を保険医療機関へ支払う仕事をしている。
●第1号被保険者
介護保険制度の被保険者は40歳以上。被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の第2号被保険者とに分類される。
●国民健康保険団体連合会
国民健康保険法第83条に基づき、保険者(区市町村・国民健康保険組合)が共同して目的を達成するため、都道府県知事の認可を受け設立された公法人団体。
主な事業内容
①保険者との連絡調整
②診療報酬等の審査及び支払
③特定健康診査・特定保健指導に関する事業
④保健事業
⑤国民健康保険に関する広報活動及び調査研究事業
⑥保険者事務共同処理に関する事業
⑦保険財政共同安定化事業及び高額医療費共同事業
⑧後期高齢者医療広域連合からの受託事務
⑨保険者協議会の運営
⑩介護給付費等の審査及び支払
⑪介護保険に係る保険者事務共同処理事業
⑫介護サービス苦情処理に関する業務
⑬介護保険事業の円滑な運営に資する業務
⑭障害者自立支援給付費等に関する事業
⑮年金からの保険料(税)の特別徴収に係る経由機関業務
⑯措置費支払代行に関する事業
⑰出産育児一時金等の支払事務
⑱その他本会の設立目的を達成するために必要な事業
●介護給付費審査委員会
介護給付費の審査を行うため、介護保険法第179条に基づき、介護給付費審査委員会(以下「審査委員会」という。)を本会に設置し、保険者である市町村の委託を受けて介護給付費請求明細書等の審査を行っている。
審査委員会の構成は、審査が適正に行われるよう介護給付費等対象サービス担当者を代表する委員、市町村を代表する委員、中立的な立場にある公益を代表する委員の三者構成とし、規約に定めるそれぞれ同数の委員をもって組織されている。
【解説】
問題 4【合否のカギをにぎる問題】
幅の広い知識が必要な問題のつくりとなっており、少し「あせった」という受験生もおられるでしょう。出題意図は、国、都道府県、市町村、および関連機関について、どのような役割、機能があるかを広く浅く、部分的に、しかも過去に問題として出していないところを並べて、問題に仕立て上げているようです。合格基準点にとどくようにするには、テクニックや感を駆使して、なんとしてでも得点しておきたい問題です。
1○ 【5訂 第1巻144-149P】
設問のとおりです。
第2号被保険料のお金の流れる順番を知っているかどうかを試す問題です。
本人の給与から天引き→医療保険者→社会保険診療報酬支払基金→保険者→国保連→事業者
素朴な疑問、途中で手数料等で、溶けてなくなりそうですね。クラウドコンピュータの時代なので間の手数料いらなくなれば、保険料負担も軽減できるようになるでしょうね。
2× 【5訂 第1巻146-147P】
第1号被保険料のお金の流れは本人口座→年金保険者→保険者→国保連→事業者となります。
3× 【5訂 第1巻92P】
介護給付費審査委員会は、国保連に設置され介護報酬の請求内容の審査をおこないます。介護報酬の算定基準の設定は、厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聞く必要があります。
単純なヒッカケ問題で、【介護給付費審査委員会】と【社会保障審議会】の違いを問うた内容となっています。ある程度学習準備ができていれば、解答可能と思われます。
4× 【5訂 第1巻95P】
区分支給限度基準額の上乗せの権限があるのは市町村になります。都道府県が間違いになります。これも単純なヒッカケ問題です。
5○ 【5訂 第1巻46P 第4巻80P】
介護保険法第214条に過料に関する規定があります。必ず214条を読みましょう。類似する問題が次年度以降出題される可能性があります。丁寧な学習が得点を作り込んでいきます。ひと手間をおしまず読み込みましょう。
過料(かりょう)とは、日本において金銭を徴収する制裁の一。過料は金銭罰ですが、罰金や科料と異なり、刑罰ではありません。特に刑罰である科料と同じく「かりょう」と発音するので、過料を「あやまちりょう」、科料を「とがりょう」と呼んで区別することがあるそうです。
選択肢5を明確に暗記している受験生はいないでしょう。消去法で選択肢、34を×とし選択肢125の中で1つだけ×を選ぶという考えで、選択肢2を×とした受験生が多いでしょう。
【解答】1, 5