介護支援専門員、ケアマネ

第13回 問題37

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【問題37】高齢者の栄養管理について正しいものはどれか。3つ選べ。

1 鉄欠乏性貧血がある場合には、鉄を多く含む食品と同時に、良質な蛋白質を含む食品も十分に摂取する。

2 腎不全では、腎機能の低下にかかわらず、蛋白質の十分な摂取とエネルギーの補給をする。

3 経管栄養を行っている高齢者の便の形状や量が変化した場合には、その状態により経管栄養剤の投与速度や内容の変更を検討する。

4 エネルギー欠乏症とは、BMI(体格指数)18.5以下の人又は通常時の体重に比べて減少率が6ヵ月に5%以上の場合をいう。

5 栄養障害に伴う皮膚・粘膜の症状は、ビタミンD欠乏が原因である。

【用語解説】

●鉄欠乏性貧血
私たちの体に存在する鉄は、70%がヘモグロビンとして存在しており、残り30%は肝臓や脾臓、骨髄などに蓄えられた貯蔵鉄として存在しています。体内で鉄が不足した場合はこの貯蔵鉄を使用するためすぐに鉄欠乏性貧血になることはありませんが、不足の状態が続くと貯蔵鉄が枯渇し貧血が起こります。貯蔵鉄が枯渇してしまうと食事などで貯蔵鉄を回復する事は難しく、常に貧血が起こりやすい状態になります。そのため貯蔵鉄が枯渇した鉄欠乏性貧血をおこします。

●腎不全
腎臓の機能が低下して正常に働くなった状態。腎不全には急性腎不全と慢性腎不全がある。

●経管栄養
食事を口から摂れない患者に対して、鼻や腹部に形成した穴からチューブを使って栄養補給を行うこと。
消化管機能自体が正常であれば、経管栄養を行うのが最良ですが、消化管の異常をきたしている場合は、末梢静脈や中心静脈から経静脈栄養を行うことになる。

●エネルギー欠乏症
エネルギーが不足して、健康を維持するうえで必要な栄養が足りていない状態を言う。

●BMI(体格指数)
体重(体格)指数のことで、体重÷身長÷身長で算出される体重(体格)の指標。

●ビタミンD
油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつ。食べ物から摂取、日光を浴びることで体内でもある程度つくり出せる。
小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進する働きと、それによって血液中のカルシウム濃度を保ち、丈夫な骨をつくる働きがある。

【解説】

問題 37【難しい問題】

医療分野の学習において、もはや【栄養】は主要単元となっています。生きることの源ともなるのですからやはり、しっかりおさえておきたいところですね。過去の本試験においても、17年、問題43、20年、問題28と44、20年、問題39、21年、問題30に出題がみられます。過去問題集をお持ちであればぜひ、出題パターンをさぐってみてくださいね。全体をひととおり学習したら、出題可能性の高い単元から精度を上げていく。これ、【受験勉強の基本】の1つです。

出題範囲は下記のとおりです。

◆ 栄養・食生活からの支援
  ※ 人間らしい栄養・食生活とは
 ※ 栄養・食生活からの介護の手順
 ※ 望ましい栄養・食生活をめざして提示されている食生活指針

1○ 【5訂 第3巻200P】

設問のとおりです。

オンライン模試でも、まったく同じ問題が登場していましたね。

2× 【5訂 第3巻200~201P】

Q:なぜ、腎不全では蛋白質の制限が必要なのでしょうか?

A:蛋白質が体の中で代謝・分解されると窒素を含んだ老廃物となり、腎臓でろ過されて尿となり排泄されます。

しかし、腎不全になると老廃物がうまくろ過されず、排泄が困難となり、このため腎臓にある糸球体に負担がかかり、糸球体の破壊が進行してしまいます。腎臓機能が低下しているところに、蛋白質を多く摂取すると腎臓に負担がかかり腎臓を傷つけてしまうことになるのですね。

3○ 【5訂 第3巻211~212P】

設問のとおりです。

昨年の問題38でも、登場していますね。正しい知識をもっての観察が必要となります。

4○ 【5訂 第3巻196P】

設問のとおりです。

BMIの算出方法は、もちろん御存知ですよね? 体重(㎏)÷身長(m)の2乗

BMI(ボディ・マス・インデックス)についての出題は、20年、問題39にも見られます。

数字、アルファベットを含む専門用語などは、引っ掛け問題として使われやすい傾向にあります。

過去問題を上手に活用すること、これも受験勉強の基本中の基本です。

5× 【5訂 第3巻194P】

皮膚・粘膜に関する栄養素には、ビタミンA、ビタミンB2、ニコチン酸などがあげられます。ビタミンDが欠乏すると、骨の発育やカルシウムの沈着が阻害されます。高齢者ではカルシウムが次第に消失して、骨そしょう症を起こしやすくなってしまいます。

【解答】1,3,4

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