介護支援専門員、ケアマネ

第13回 問題34

01-green

【問題34】医療機器について適切なものはどれか。2つ選べ。

1 パルスオキシメーターは、静脈血中の酸素分圧を測定する。

2 ホルター心電図(24時間心電図)を装着した場合は、安静を保つ。

3 耳式体温計は、鼓膜付近から出る赤外線を検出することで体温を測定するものである。

4 安眠のため、睡眠中は人工呼吸器のアラームの音量を最小にして聞こえないようにする。

5 気管切開をしている場合でも、スピーチカニューレの使用により発声は可能である。

【用語解説】

●パルスオキシメーター
赤色・赤外の2種類の光を利用して、血液中のヘモグロビンうち酸素と結びついているヘモグロビンの割合をパーセント(%)で表示します。
これを血中酸素飽和度あるいは記号でSpO2と言います。
また、パルスオキシメーターはSpO2だけでなく、脈拍数も同時に測定表示します。

パルスオキシメーターは精度が高く、誰でも簡単に測定出来るなどの多くの利点がありますが、測定誤差を生じる要因がいくつかあります。使用に際してはこれらのことに留意する必要があります。

①異常ヘモグロビンの影響
血液中には一酸化炭素ヘモグロビンやメトヘモグロビンなどの酸素運搬には貢献しない異常ヘモグロビンが含まれることがあります。2式長波のパルスオキシメータはこれらの異常ヘモグロビンの影響を受けます。
②色素の影響
血液中にカルディオグリーン、イントラバスキュラーダイズ、インドシアニングリーンなどの色素を注入している場合にはこれらの色素が赤色、赤外の透過光量に影響を与えます。
③マニキュアの影響
爪にマニキュアなどを塗っている場合、マニキュアがLEDの透過光を吸収するため、生体を透過する発光成分が変化し、計算値に影響を与えます。
④激しい体動があるとき
想定値にノイズが入るため計算値に影響を与えます。体動に限らず、ノイズにより測定値の信頼性が低くなった場合には、パルスオキシメーターは警告マークを表示します。
⑤腕や指が圧迫され血流が阻害されたとき
パルスオキシメーターは血流の変動を利用して測定を行っているため、血流が阻害されると正しい測定ができなくなります。同様に一定リズムで指が圧迫される場合(エルゴメーターで一定のリズムで握る力を強めたりする場合)なども、圧迫を脈の変化として捉えて、誤差(特に脈拍測定)が生じることがあります。
⑥末梢循環不全が生じた場合
パルスオキシメーターは血流を利用し透過光層の変動成分から測定値を求めておりますので、末梢循環が悪くなると充分な情報が得られず正確な測定が難しくなります。このような場合には指をマッサージしたり温めたりして血流を促進する、あるいは血流の良い他の指で測定するなどの方法が必要です。
⑦周囲の光(照明灯、蛍光灯、赤外線加熱ランプ、直射日光)が強すぎる場合
パルスオキシメーターは周囲光の影響をキャンセルする処理を行っていますが、光が強すぎる場合にはキャンセルしきれず誤差となることがあります。
⑧周辺の電磁波の影響
テレビなどの電化製品や電磁放射の多い医療機器を近くで使用しているとき、測定中に携帯電話を使用しているときなど、他の電子機器からの電磁波の影響により正確な測定ができないことがあります。
⑨プローブが正しく装着されていないとき
プローブが正しく装着されていない場合は、様々なノイズを拾うため正確な測定ができなくなります。

●スピーチカニューレ
声の出せるカニューレ
カニューレ
体腔・血管内などに挿入し、薬液の注入や体液の排出、気管切開の際の空気の通路とする場合などに用いるパイプ状の医療器具。

【解説】

問題 34【難しい問題】

医療分野において、呼吸管理、その他の在宅利用および、医療器具を装着している場合の留意点も出題範囲となります。

 ◆ 呼吸管理の考え方
 ◆ その他の在宅医療
 ◇ 在宅酸素療養
  ◇ 在宅中心静脈栄養法
 ◇ 気管内挿管
 ◇ 内視鏡的胃ろう造設(PEG)
 ◇ 人工呼吸器
  ◇ ペースメーカー
 ◇ 腹膜灌流

1軍の座を守り続けている、在宅医療関連問題。過去問題を振り返ってみても、17年、問題35、18年、問題35、19年、問題32と37、20年、28の一部、30と34。21年では問題30、38、39にそれぞれ1つ設問がまぎれていました。ちなみに、【パルスオキシメータ】とは、ブローブを指や耳に取り付けて、侵襲せずに、経皮的動脈血酸素飽和度と脈拍数をモニターする医療機器のことですね。介護保険制度における訪問介護では、新生児以外で入院治療の必要のない利用者さんに対しての、パルスオキシメータの装着は身体介護としてカウントされることになっています。2005年に厚生労働省から、体温測定、血圧測定など同じく医療行為でないと通達がありました。

1× 【解説参照】

静脈血中という部分が誤りですね。みーーたーーこーーとーーなーーい!!!という受験生さんも、多数おられると思います。そんな時は、制御不能にならず、この設問はスルーして次に。消去法で正答を導き出せる場合も多いからです。

2× 【5訂 第3巻57P】

通常、病院などで行う心電図検査は、1分以内がほとんどです。けれど、それでは動悸、脈の乱れ、胸の痛みなどがある場合でも、症状の原因となる心電図変化をとらえることができないこともあります。そこで、日中活動や夜間睡眠も含めて1日中心電図記録が行える、ホルター心電図の活用となるのですね。ちなみに名前の由来は、開発者のホルター博士からだそうです。

3○ 【解説参照】

わーーかーーらーーなーーい。そんな時は思い切ってスルーして、次の設問にトライしましょう。われわれの身体の表面からは、常にその温度に見合った赤外線が出ているのだそうです。鼓膜の温度は、外気温などの影響を受けにくく、体内の深部に近い場所の体温に近く、変動の少ない温度とされています。高齢者では、麻痺があったり、痩せていたり、あるいは認知症の方も。脇に数分はさんで測定する体温計では計測が困難な場合もありますが、耳式体温計であれば、わずか数秒です。主治医とも相談のうえ、上手に使い分けるのも良い方法と考えます。

4× 【5訂 第3巻214P】

おいおい、何のためにアラームがあるんだよと、医療関係者さまからナイスなツッコミがきそうな設問ですね。なんと、在宅医療機器のアラームに関する出題は、20年本試験、問題34の設問3にもありました。このときは、人工呼吸器使用ケースにおける不安への対応でしたが、問題の趣旨は今回も同じです。過去問、あなどるべからずです。

5○ 【解説参照】

その昔は、【 気管切開 イコール 会話不能 】でした。けれど、日進月歩の医療のおかげで現在ではスピーチカニューレ、あるいは、スピーキングバルブなる医療器具も開発されています。通常のカニューレの場合、カフを膨らませると空気はカニューレを通って肺に行き、またカニューレから出て行くため声が出せません。スピーチカニューレの場合は、管に窓がついており、窓からも空気が出る仕組みになっています。これなら、カフを膨らませていない状態と同じなので声が出せるのですね。主治医との十分な連携が必要となりますが、支援に関わる人にとってもうれしい医療の進歩です。

【解答】3,5

01-green

このページの先頭へ