介護支援専門員、ケアマネ

第13回 問題29

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【問題29】次の記述について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1 ヒップ・プロテクターは、高齢者の骨盤を安定させ、腰痛を緩和するために用いられるものである。

2 高齢者の身体寸法に合わない杖や歩行器などを使用することや、これら歩行補助具の誤った使い方は、転倒の危険性を高める。

3 転倒による障害のなかで骨折とともに注意しなければならないのは、頭部外傷や硬膜下血腫である。

4 半側空間無視のある人は、車椅子で走行するとき、半側への認識が不十分なために壁や人にぶつかってしまう危険性がある。

5 転倒を体験して、転倒恐怖感や強い不安のために活動が消極的になった高齢者には、成功体験によって意欲を高めようとする対応はふさわしくない。

【用語解説】

●ヒップ・プロテクター
転倒時に股関節を外力から守って大腿骨頚部骨折を予防する。
転倒時に股関節の外側の大転子部を打撲することで大腿骨頚部が骨折するので、硬いヘルメット式か、柔らかいパッド式のプロテクターが下着の大転子の位置に組み込まれている。

●硬膜下血腫
硬膜と脳の間で出血が起こり、硬膜とくも膜の間に血液が貯留した状態。

【解説】

問題 29【合否を分けそうな問題】

検査値、高齢期に多い疾患、各種サービスといった難問系についつい目を向けがちですが、医療分野における出題では、【介護】もたいへん重要な位置づけです。両者を、別々なものとしてとらえず、学習の先には いつも【介護】があることを意識する。これが医療分野学習の際のコツともいえるでしょう。ちなみに、過去問題では、18年度 問題29、20年度 問題38、21年度 問題29 あたりをしっかりチェックなさった受験生さんは、落ち着いて得点できたと思います。

ところで。全国の年間発生頻度は、1987年には5万人強、2002年にはなんと、11万人以上に!!!しかも、65歳以上で急激な増加が見られる・・・。何をあらわす数字かは、もう、お気づきですよね。【 大腿骨頸部骨折 】です。

来年の出題も予想される、転倒、骨折。高齢者介護に関わるわれわれの永遠のテーマでもあります。

1× 【5訂 第3巻38P】

20年度本試験に登場し、多くの受験生さんを奈落の底に突き落とした(?)なぞの物体、ヒップ・プロテクター。

わかりやすくご説明すると、転倒時に股関節を外力から守って、大腿骨頸部骨折を予防するためのパンツです。転倒時に股関節の外側の大転子部を打撲することで骨折するため、硬いヘルメット式か、柔らかいパッド式のプロテクターがパンツの大転子の位置に組み込まれています。残念ながら購入福祉用具の対象でないため、購入費用は自費となります。(5000円前後が多いようです)実物知らなーーい!!という方はぜひ福祉用具ショップなどで一度手にとってみてくださいね。

2○ 【5訂 第3巻239~241P】

設問のとおりです

3○ 【5訂 第3巻17P】

頭部外傷後に、頭蓋骨を覆う硬膜と脳の表面のくも膜との間に、徐々に血液がたまって脳を圧迫し意識障害、頭痛などを生じます。なかでも、小さな静脈からの出血によって徐々に脳を圧迫して受傷後約1ヶ月で症状が現れるとされる、慢性硬膜下血腫が重要となります。

4○ 【5訂 第3巻13P】

設問のとおりです。

車椅子のブレーキを片側だけ、かけ忘れたり、フットレストの管理を忘れたりする場合もあります。行動をともにすれば、日常動作面の関わりから比較的症状を予測できやすい部分もありますので、介護に関わる人の配慮が求められます。

5× 【解説参照】

思いがけない突然の転倒は、身体のみならず、こころにも、大きな衝撃を与えることでしょう。怪我や骨折を伴えば、さらにその衝撃や恐怖はとてつもなく大きなものにだってなるでしょう。この辛さをすこしづつ克服するには、関係者が御本人の怖いという気持ちを十分受け止めること、そして、御本人のペースに合わせて少しづつ、転倒前の自信を取り戻すよう適切な支援が必要です。

【解答】2,3,4

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