第13回 問題53
【問題53】認知症対応型通所介護について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 認知症対応型通所介護には、利用者の機能訓練が含まれる。
2 認知症対応型通所介護は、一般の通所介護と同一の時間帯に同一の空間で一体的な形で実施することが認められている。
3 若年性認知症の者も対象とする事業所の設置市町村は、それを広域的に利用させることが求められている。
4 認知症対応型共同生活介護事業所の居間又は食堂を利用して、その利用者とともに行う認知症対応型通所介護は、共用型認知症対応型通所介護である。
5 サービスは、必ず事業所内で提供しなくてはならない。
【用語解説】
●認知症対応型通所介護
1 基本方針(基準第41条)
①指定地域密着型サービスに位置づけられる指定認知症対応型通所介護は、認知症の者が可能な限り居宅において日常生活を営むことができること及び家族の負担軽減を図ることを支援するものであること。なお、認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者は、当該認知症対応型通所介護事業所において日常生活を送ることに支障があると考えられることから、指定認知症対応型通所介護の対象とはならないものである。
②一般の通所介護と指定認知症対応型通所介護を同一の時間帯に同一の場所を用いて行うことについては、指定認知症対応型通所介護は対象者を認知症の者に限定し、認知症の特性に配慮したサービス形態であることから、一般の通所介護と一体的な形で実施することは認められない。指定認知症対応型通所介護を一般の通所介護と同じ事業所で同一の時間帯に行う場合には、例えばパーティション等で間を仕切るなどにより、職員、利用者及びサービスを提供する空間を明確に区別することが必要である。
③初老期における認知症(以下「若年性認知症」という。)の者も対象とする事業所については、若年性認知症の者が少なく、また、若年性認知症の者に対応したプログラムを有する事業所が少ないことから、近隣市町村等も含めて広域的な利用が行われることが想定されることを踏まえ、当該事業所の設置市町村以外の市町村における若年性認知症の者からの希望に基づき、当該他市町村から指定の同意の申し出があった場合には、設置市町村は、当該若年性認知症の者の利用については、原則として、法第78条の2第4項第4号に係る同意を行うこととし、円滑に当該他市町村による事業所指定が行われるようにすることが求められる。
●若年性認知症
若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症※を言います。アルツハイマー病が70歳で発症すれば老年発症型アルツハイマー病、60 歳で発症すれば若年発症型アルツハイマー病と呼びますが、両者の間に病理学的な違いがあるわけではありません。しかし、若年性認知症は、高齢で発症する認知症とは異なる様々な社会的、家庭的問題を引き起こします。就労に関する問題は、その最たるものです。
※認知症
認知症とは、脳の疾患により、記憶、思考、見当識(時間・場所等の感覚)、理解、計算、学習能力、言語、判断を含む認知機能の低下した状態をいいます。意識の混濁はなく、認知機能の障害は通常、慢性、進行性で、情動の統制、社会行動あるいは動機づけの低下を伴います。臨床的には、これらの症状が、日常生活を損なう程度に達した状態が6カ月以上続いたときに、認知症の診断が考慮されます。従って、認知症は複数の症状を呈している状態であって疾患名ではありません。
認知症を引き起こす原因疾患には、① 脳出血、脳梗塞、脳動脈硬化のような血管病変、② アルツハイマー病、レビー小体病、前頭側頭葉変性症のような脳細胞の変性疾患)、③ 梅毒、AIDS 等の感染症、④ 頭部外傷、⑤ 薬物中毒などがあります。
●認知症対応型共同生活介護事業所
認知症(急性を除く)の高齢者に対して、共同生活住居で、家庭的な環境と地域住民との交流の下、入浴・排せつ・食事等の介護などの日常生活上の世話と機能訓練を行い、能力に応じ自立した日常生活を営めるようにする施設。
●共用型認知症対応型通所介護
共用型指定認知症対応型通所介護とは、指定認知症対応型共同生活介護事業所の居間又は食堂、地域密着型介護老人福祉施設もしくは地域密着型特定施設の食堂又は共同生活室において、それらの事業所又は施設の利用者、入居者又は入所者とともに行う指定認知症対応型通所介護のことをいう。
【解説】
問題 53【合否を分けそうな問題】
福祉分野における出題範囲には、地域密着型サービス、介護予防地域密着型サービスが全て該当します。
◆ 夜間対応型訪問介護
◆ 認知症対応型通所介護
◆ 小規模多機能型居宅介護
◆ 認知症対応型共同生活介護
◆ 地域密着型特定施設入居者生活介護
◆ 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
◇ 介護予防認知症対応型通所介護
◇ 介護予防小規模多機能型居宅介護
◇ 介護予防認知症対応型共同生活介護
やはり、まずは認知症対応型通所介護の基本方針をご覧いただきましょう。
下記になります。
『指定地域密着型サービスに該当する認知症対応型通所介護の事業者は、要介護状態になった場合においても、その認知症である利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的な孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。』
1○ 【5訂 第4巻633P】
設問のとおりです。
2× 【5訂 第2巻292P】
認知症対応型通所介護は、対象を認知症の人に限定し、その特性に配慮したサービス形態であるため、一般の通所介護と一体的な形での実施は認められていません。もしも一般の通所介護と同じ事業所で同一の時間帯に行う場合には、たとえばパーテーション等で仕切るなどして、職員、利用者及びサービスを提供する空間を明確に区別する必要があります。
3○ 【5訂 第2巻292P】
設問のとおりです。
4○ 【5訂 第2巻292P】
設問のとおりです。
5× 【5訂 第4巻633・636P】
指定認知症対応型通所介護における、具体的取扱方針として、『利用者が住み慣れた地域での生活を継続することができるよう、地域住民との交流や地域活動への参加を図りつつ、利用者の心身の状況を踏まえ、妥当適切に行うものとする。』とあります。
【解答】1,3,4