第12回 問題43
【問題43】認知機能に関して適切なものはどれか。3つ選べ。
1 認知症の主症状は、認知機能障害及び判断能力の低下であり、これらは進行性である。
2 認知症の症状を示す疾患には、脳腫瘍や正常圧水頭症のほか、甲状腺機能低下症などの全身性疾患もあるので、鑑別診断が重要である。
3 幻覚、妄想、徘徊、不潔行為などは認知症の周辺症状と呼ばれ、行動心理障害による症状である。
4 Mini-Mental State Examination(MMSE)の結果のみで、認知症と診断することができる。
5 自動車運転免許証の更新を受けようとする者で、更新期間満了日における年齢が65歳以上の者は、認知機能に関する検査を受けなければならない。
【用語解説】
●認知症
認知症とは、脳の疾患により、記憶、思考、見当識(時間・場所等の感覚)、理解、計算、学習能力、言語、判断を含む認知機能の低下した状態をいいます。意識の混濁はなく、認知機能の障害は通常、慢性、進行性で、情動の統制、社会行動あるいは動機づけの低下を伴います。臨床的には、これらの症状が、日常生活を損なう程度に達した状態が6カ月以上続いたときに、認知症の診断が考慮されます。従って、認知症は複数の症状を呈している状態であって疾患名ではありません。
認知症を引き起こす原因疾患には、① 脳出血、脳梗塞、脳動脈硬化のような血管病変、② アルツハイマー病、レビー小体病、前頭側頭葉変性症のような脳細胞の変性疾患)、③ 梅毒、AIDS 等の感染症、④ 頭部外傷、⑤ 薬物中毒などがあります。
●正常圧水頭症
頭の中や脊髄の表面を流れる、髄液(ずいえき)と呼ばれる水が、脳の中心にある脳室(のうしつ)と呼ばれる場所に溜まり、周りの脳を圧迫することにより、歩行障害(ほこうしょうがい)、物忘れ、排尿が間に合わないなどトイレの問題などが出る病気です。
●鑑別診断
かかっている病気を診断するにあたり、可能性がある複数の病気を比較しながら、合理的に特定すること。
●MMSE
アルツハイマー型認知症などの疑いがある被験者のために作られた簡便な検査方法で、被験者に対し口頭による質問形式(各質問に点数があり、30点満点で判定)で行われる。
総合得点が21点以下の場合は、認知症などの認知障害がある可能性が高いと判断されます。
【解説】
【解答】1,2,3