第13回 問題5
【問題5】介護保険制度の被保険者について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 障害者自立支援法による生活介護および施設入所支援を受けて指定障害者支援施設に入所している身体障害者は、被保険者となる。
2 障害者自立支援法の指定障害福祉サービス事業者である病院(同法上の療養介護を行うものに限る)に入院している者は、被保険者とならない。
3 児童福祉法の重症心身障害児施設の入所者は、被保険者となる。
4 生活保護法の救護施設の入所者は、被保険者となる。
5 日本国籍を持っているが、海外に長期滞在しており日本に住所を有しない者は、被保険者とならない。
【用語解説】
●障害者自立支援法
障害のある人々の自立を支える為の法。
ポイント
①障害の種別(身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む))にかかわらず、障害のある人々が必要とするサービスを利用できるよう、サービスを利用するための仕組みを一元化し、施設・事業を再編
②障害のある人々に、身近な市町村が責任をもって一元的にサービスを提供
③サービスを利用する人々もサービスの利用量と所得に応じた負担を行うとともに、国と地方自治体が責任をもって費用負担を行うことをルール化して財源を確保し、必要なサービスを計画的に充実
④就労支援を抜本的に強化
⑤支給決定の仕組みを透明化、明確化
●指定障害者支援施設
障害者支援施設とは、障害者の方に対し、夜間に「施設入所支援」を行うとともに、昼間に「生活介護」、「自立訓練」又は「就労移行支援」を行う施設。
・障害者支援施設で夜間行うサービス
障害者支援施設で夜間に行うサービスは「施設入所支援」です。「施設入所支援」のサービスの内容及び対象者は次のとおりです。
【内容】
その施設に入所する障害者の方に対し、主として夜間において、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の支援を行います。
【対象者】
次の(1)又は(2)に該当する方です。
(1)昼間に「生活介護」を利用する方(障害程度区分が区分4以上(50歳以上の場合は区分3以上)である必要があります。)
(2)昼間に「自立訓練」又は「就労移行支援」を利用する方であって、入所しながら訓練を実施することが必要かつ効果的と認められる方、又は地域におけるサービスの提供体制その他やむを得ない事情により通所によって訓練等を受けることが困難な方。
・障害者支援施設で昼間行うサービス
障害者支援施設で昼間行うサービスは、「生活介護」、「自立訓練」又は「就労移行支援」です(平成23年度までの間は、昼間に「就労継続支援」を行う障害者支援施設もあります。)。このうち、どのサービスを行うかは、施設により異なります。通所による利用も可能です。
●指定障害福祉サービス事業
障害者自立支援法では、障害のある人々が利用できるサービスを充実し、障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現をめざします。サービスは個々の障害のある人々の障害程度等により個別に支給決定が行われる「障害福祉サービス」と、市町が創意工夫により利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別されます。障害福祉サービスには居宅介護(ホームヘルプ)などの介護の支援を受ける「介護給付」と、自立訓練などの訓練等の支援を受ける「訓練等給付」があります。
●児童福祉法
第一条 すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。
第二条 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
第三条 前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。
●重症心身障害児施設
社会福祉法による児童福祉施設としての機能と、医療法による病院としての機能を兼ね備る。重症児者の日常生活を支えながら、必要な医療、看護、機能訓練、保育、生活指導などを行っていく総合的な療育の機関。
重症心身障害児者とは
知能指数35以下の重度の知的障害と、寝たきりか、やっと座れる程度の重度の肢体不自由が重複した、障害者の中でも最も重い障害の人たち。その上、てんかん、言語障害、視覚障害、呼吸障害など多くの疾患を併せ持ち、大変虚弱な方たちです。
【解説】
問題 5【合否を分けそうな問題】
介護保険は保険料と税金(公費)で成り立っています。(1割自己負担もありますが)被保険者は介護保険制度においては、非常に重要な位置づけにあるといっても過言ではありません。
◆概略 第1号被保険者数 22年7月現在で約2900万人
第2号被保険者数 21年4月現在で約4240万人
これだけの多くの方により介護予防サービス約86万人、介護サービスで約320万人の要介護高齢者を支えている制度です。12回試験で被保険者の問題を出さなかった点については、試験問題に対して強い不信感があったことを覚えています。
余談はさておき、やはり、被保険者関連の問題では、得点を取っておきたいものです。
被保険者に関連する過去問題を一通り解いて、被保険者の定義や介護保険法に書かれていることを読み込んだ受験生は得点できていると思われます。
介護保険法施行規則第170条を読み込んで、根拠がどこにあるか知っておくことが重要となるでしょう。
◆170条2項抜粋(適用除外施設)
施行法第十一条第一項 の特別の理由がある者で厚生労働省令で定めるものは、次に掲げる施設に入所し、又は入院している者とする。
一 児童福祉法第四十三条の四 に規定する重症心身障害児施設
二 児童福祉法第七条第六項 の厚生労働大臣が指定する医療機関
三 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法第十一条第一号 の規定により独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設
四 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律第二条第二項 に規定する国立ハンセン病療養所等
五 生活保護法第三十八条第一項第一号 に規定する救護施設
六 労働者災害補償保険法 (昭和二十二年法律第五十号)第二十九条第一項第二号 に規定する被災労働者の受ける介護の援護を図るために必要な事業に係る施設(同法 に基づく年金たる保険給付を受給しており、かつ、居宅において介護を受けることが困難な者を入所させ、当該者に対し必要な介護を提供するものに限る。)
七 障害者支援施設
八 指定障害者支援施設を受けて入所している知的障害者及び精神障害者に係るものに限る。
九 障害者自立支援法第二十九条第一項 の指定障害福祉サービス事業者であって、障害者自立支援法施行規則第二条の三 に規定する施設
1× 【5訂 第1巻53P】
介護保険の被保険者の適用除外を学習済みの方は、被保険者となる場合、ならない場合の区別ができたのではないでしょうか。
2○ 【5訂 第1巻53P】
設問のとおりです。
3× 【5訂 第1巻53P】
児童福祉法第四十三条の四 に規定する重症心身障害児施設は、適用除外施設になります。
4× 【5訂 第1巻53P】
生活保護法第三十八条第一項第一号 に規定する救護施設は、適用除外施設になります。
よって、被保険者となりません。
5○ 【5訂 第1巻52P】
住所要件を満たさないので被保険者とはなりません。
【解答】2,5