介護支援専門員、ケアマネ

第13回 問題12

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【問題12】介護保険財政について正しいものはどれか。3つ選べ。

1 第1号被保険者の保険料に係る特別徴収は、国民健康保険の保険者が行う。

2 介護保険事業の事務費は、被保険者の保険料によって賄わなければならない。

3 第2号被保険者の保険料は、社会保険診療報酬支払基金から各市町村に介護給付費交付金として交付される。

4 社会保険診療報酬支払基金は、市町村に対し地域支援事業支援交付金を交付する。

5 所得段階別定額保険料の所得区分は原則6段階とされているが、市町村の条例でさらに細分化することができる。

【用語解説】

●第1号被保険者・第2号被保険者
介護保険制度の被保険者は40歳以上。被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の第2号被保険者とに分類される。

●社会保険診療報酬支払基金
保険医療機関(薬局)からの診療に係る医療費の請求が正しいか審査したうえで、健康保険組合(保険者)などへ請求し、健康保険組合から支払われた医療費を保険医療機関へ支払う仕事をしている。

●地域支援事業支援交付金
(交付の目的)
この交付金は、市町村(特別区、一部事務組合及び広域連合等を含む。以下同じ。)が、介護予防事業、包括的支援事業(介護予防ケアマネジメント業務、総合相談支援業務、権利擁護業務及び包括的・継続的ケアマネジメント支援業務をいう。以下同じ。)及びその他の地域支援事業を行うことにより、被保険者が要介護状態又は要支援状態
(以下「要介護状態等」という。)となることを予防するとともに、要介護状態等となった場合においても、可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的とする。

【解説】 

問題 12【難しい問題】

介護保険財政に関連する問題の難易度は、問題作成者側で、難しく作ろうと思えばいくらでも難しく作成できる分野です。堅苦しい用語が出てくるので、苦手とする受験生は多いようです。ここは、2分以上かけて考えることは避けたいところです。

1× 【5訂 第1巻146~148P】

【国民健康保険の保険者が行う】というところが×です。

特別徴収という言葉の意味を理解していて、年金保険者(国民年金、厚生年金、共済年金)

が徴収するということを知っていれば解答可能です。

特別徴収とは、介護保険料の特別徴収は、年間の保険料を日本年金機構等が公的年金の支給額から予め天引きして納付する制度です。【いわゆる自動天引き】第1号被保険者(65歳以上)が対象で、特別徴収の方法により納付するのが原則となります。老齢年金または退職年金、遺族年金、障害年金を年額18万円(月額1万5000円)以上の受給者が該当し複数の年金を受給している場合は1つの対象年金が18万円(月額1万5000円)以上であることが条件となります。

2× 【5訂 第1巻145P】

介護保険の事務費とは(1)調査に係る費用(2)主治医意見書作成に係る費用(3)認定審査会開催に要する費用、その他人件費等をさしてます。

これらのお金の出所は、保険料ではないということ知っていれば解答できたでしょう。

介護保険運営に係る事務経費何%位が妥当なのか知っているケアマネは日本にほとんどいでしょう。例として横浜市の場合は、保険給付額約1810億円、地域支援事業費、約43億円介護保険事業の事務経費約55億円となっています。(2.9%)

2003年度までは、市町村等が行う要介護認定又は要支援認定の事務処理に要する費用が国から一部交付されていました。2004年度からは、市町村の一般財源で賄われるようになりました。

【理由】いわゆる三位一体改革、地方自治体が決定すべきことは国ではなく地方自らが決定するという地方分権を実現するために、

(1)国から地方へ支出される補助金(国庫補助負担金)の削減

(2)国から地方への税源の移譲

(3)地方交付税の見直し

上記3本の柱を、同時並行的に進めていくという意味で三位一体改革と呼んでいます。

(実感として、何がよくなったのかわかりません)

3○ 【5訂 第1巻144P・149~150P】

お金の流れるルートを知っていれば解答可能ですが、1と2が×とわかった方は考えないでも、○と解答した受験生はおおいでしょう。

4○ 【5訂 第1巻150P】

設問のとおりですが、地域支援事業費は、上記の横浜市の例をみてもお分かりのとおり金額のボリュームは低いです。事業規模はかなり小さいです。介護保険を100とすると地域支援事業は3という割合です。

5○ 【5訂 第1巻146P】

2005年の法改正で従前の5段階から6段階に細分化されました。さらに、7段階8段階に細分化することや、保険料率を変更することが認められています。例(福井市の場合9段階 東京都大田区の場合13段階 武蔵野市の場合14段階、千葉県柏市の場合16段階)

【解答】3,4,5

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