第15回 問題43
【問題43】在宅医療について、より適切なものはどれか。2つ選べ。
1 人工呼吸器を装着している場合には、外出はできないため、社会参加は考慮しなくてもよい。
2 在宅酸素療法を実施している場合には、酸素濃縮器にはバッテリーが内臓されているので、2日間程度なら停電になっても問題はない。
3 パルスオキシメーターの測定値は、貧血、末梢循環不全、あるいは濃いマニキュアを爪に塗っている場合には、正確な数値を示さないことがある。
4 在宅で持続点滴をしている場合であっても、訪問入浴介護を利用することができる。
5 胃ろうからの経管栄養を受けている者が下痢になった場合には、消化吸収を速やかに行う必要があるため、注入速度を速くする。
【用語解説】
●在宅酸素療法
自宅に酸素供給機を設置し、必要時や24時間、酸素吸入をする事。費用については健康保険が適応されます。
●酸素濃縮器
空気中の窒素(ちっそ)を吸着する吸着剤に圧縮空気を通過させて酸素を濃縮し90%以上の濃度の酸素を供給する装置。家庭のコンセントを電源にして使用します。
●パルスオキシメーター
赤色・赤外の2種類の光を利用して、血液中のヘモグロビンうち酸素と結びついているヘモグロビンの割合をパーセント(%)で表示します。
これを血中酸素飽和度あるいは記号でSpO2と言います。
また、パルスオキシメーターはSpO2だけでなく、脈拍数も同時に測定表示します。
パルスオキシメーターは精度が高く、誰でも簡単に測定出来るなどの多くの利点がありますが、測定誤差を生じる要因がいくつかあります。使用に際してはこれらのことに留意する必要があります。
①異常ヘモグロビンの影響
血液中には一酸化炭素ヘモグロビンやメトヘモグロビンなどの酸素運搬には貢献しない異常ヘモグロビンが含まれることがあります。2式長波のパルスオキシメータはこれらの異常ヘモグロビンの影響を受けます。
②色素の影響
血液中にカルディオグリーン、イントラバスキュラーダイズ、インドシアニングリーンなどの色素を注入している場合にはこれらの色素が赤色、赤外の透過光量に影響を与えます。
③マニキュアの影響
爪にマニキュアなどを塗っている場合、マニキュアがLEDの透過光を吸収するため、生体を透過する発光成分が変化し、計算値に影響を与えます。
④激しい体動があるとき
想定値にノイズが入るため計算値に影響を与えます。体動に限らず、ノイズにより測定値の信頼性が低くなった場合には、パルスオキシメーターは警告マークを表示します。
⑤腕や指が圧迫され血流が阻害されたとき
パルスオキシメーターは血流の変動を利用して測定を行っているため、血流が阻害されると正しい測定ができなくなります。同様に一定リズムで指が圧迫される場合(エルゴメーターで一定のリズムで握る力を強めたりする場合)なども、圧迫を脈の変化として捉えて、誤差(特に脈拍測定)が生じることがあります。
⑥末梢循環不全が生じた場合
パルスオキシメーターは血流を利用し透過光層の変動成分から測定値を求めておりますので、末梢循環が悪くなると充分な情報が得られず正確な測定が難しくなります。このような場合には指をマッサージしたり温めたりして血流を促進する、あるいは血流の良い他の指で測定するなどの方法が必要です。
⑦周囲の光(照明灯、蛍光灯、赤外線加熱ランプ、直射日光)が強すぎる場合
パルスオキシメーターは周囲光の影響をキャンセルする処理を行っていますが、光が強すぎる場合にはキャンセルしきれず誤差となることがあります。
⑧周辺の電磁波の影響
テレビなどの電化製品や電磁放射の多い医療機器を近くで使用しているとき、測定中に携帯電話を使用しているときなど、他の電子機器からの電磁波の影響により正確な測定ができないことがあります。
⑨プローブが正しく装着されていないとき
プローブが正しく装着されていない場合は、様々なノイズを拾うため正確な測定ができなくなります。
【解説】
【解答】3, 4