介護支援専門員、ケアマネ

第13回 問題44

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【問題44】薬剤に関する次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1 前立腺が肥大している患者に尿閉を起こし得る薬剤として代表的なものに、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、向精神薬などがある。

2 副腎皮質ステロイド薬の長期服用中には消化性潰瘍が生じやすいため、食欲がない場合には、服用を直ちに差し控えたほうがよい。

3 脳血栓は再発が少なくないので、再発防止を目的とした血圧管理と血栓防止のための服薬が重要である。

4 パーキンソン病の治療薬であるドーパミン製剤は、服用を突然中止すると、高熱、意識障害、著しい筋固縮などを呈する悪性症候群を生じる恐れがある。

5 高齢者は腎機能が低下しているため、薬の副作用が減弱することが多い。

【用語解説】

●前立腺
男性のみに存在する生殖器の事で、膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むかたちで存在しています。通常は、クルミほどの大きさです。

●ヒスタミン
動物の組織内に広く存在する化学物質。普通は不活性状態にあるが、けがや薬により活性型となり、血管拡張を起こし(発赤)、不随意筋を収縮する。またかゆみや痛みの原因となるともいわれる。過剰に活性化されるとアレルギー疾患の原因となる。

●向精神薬(こうせいしんやく)
脳など中枢神経(ちゅうすうしんけい)に作用して、精神の活動に効果をもたらす薬物のこと。
向精神薬は、その乱用の危険性と治療上の有用性により、第1種向精神薬、第2種向精神薬、第3種向精神薬の3種類に分類されている。

●副腎皮質ステロイド薬(ふくじんひしつすてろいどやく)
炎症の原因に関係なく強い抗炎症作用があり、炎症の全過程を強く抑制する。
糖代謝では、糖新生の促進、グリコーゲンの分解、糖の末梢での利用抑制により血糖値を上昇させる。
炎症のケミカルメディエーターであるプロスタグランジンやロイコトリエンの合成を阻害して抗炎症作用を示す。
【副作用】満月様顔貌、消化性潰瘍、浮腫、糖尿病、感染症の誘発など
【絶対禁忌】精神神経症、消化性潰瘍など
【比較的禁忌】心臓血管障害、陣機能障害、糖尿病、骨粗鬆症など

●消化性潰瘍
胃・十二指腸の粘膜が、自分の胃酸や消化酵素(ペプシン)で消化されてできた傷を消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)と言う。

●脳血栓
脳の動脈硬化が進行し、血管が狭くなり、血液の流れが悪くなって、最後にはつまり、そこから先の脳組織に血液が送られなくなった状態をいう。

●パーキンソン病
脳が出す運動の指令が筋肉にうまく伝わらず、なめらかな動作ができなくなってしまう病気。これは、脳の黒質という部分の神経細胞が減ってしまうのが原因です。この神経細胞は「ドパミン」という神経伝達物質を作り、「ドパミン」を使って体を動かす機能を調節する働きをしています。黒質の神経細胞が減るとドパミンも減ってしまうために運動の情報が伝わらず、様々な症状が出てきます。

●筋固縮(きんこしゅく)
筋肉が固くなってく動きが悪くなる症状。具体的にはスムーズな動きが出来なくなって、素早く動けない、歩行が不安定になる。転倒しやすくなる。一見、力が入らないように見えるが、握力や手足の筋肉の力は正常。パーキンソン病に症状のひとつ。

【解説】

問題 44【難しい問題】

医療分野における出題範囲に、居宅療養管理指導があります。

 ◆ 薬剤管理指導の意義・目的

 ◆ 薬剤管理指導理利用者の特性

 ◆ 介護支援サービスと薬剤管理指導

問題44は、居宅療養管理指導としての出題ではありませんが、過去の本試験においても高齢者と薬剤に関する出題が多く見られます。14回試験を目指す受験生さんは、17年、問題33、19年、問題35、20年、問題29、21年、問題33などが、傾向をつかむのに適した問題ですので、ぜひご確認ください。

★ 平成19年度、一般医療での3種類以上の薬剤使用者 : 58.0パーセント

★ 平成19年度、老人医療での3種類以上の薬剤使用者 : 67.7パーセント

また、老人医療では4人に1人の割合で、7種類以上の薬剤併用があったとの報告です。必要だからこそ処方されているわけですが、高齢者にとって併用薬剤数が多い場合は相互作用や副作用の発現に注意が必要となります。治療のために服用したお薬で、さらに新しい問題症状が起きてしまい、その症状を抑えるために、またお薬が増える・・・。支援に関わる全員が、正しい知識をもって支えてゆくことが重要ですね。

1○ 【5訂 第2巻131P】

設問のとおりです。

驚きですが、尿閉を起こす一番の原因は、薬の副作用とされます。風邪薬の中に、かならず入っている、鼻水を止める作用をもつ、『抗ヒスタミン剤』が犯人なのですね。花粉症のお薬にも、抗ヒスタミンは入っていますので、要注意です。

3○ 【5訂 第3巻13~14P】

設問のとおりです。

4○ 【5訂 第3巻15~16P】

設問のとおりです。

5× 【5訂 第2巻120P】

薬は主に腎臓から排泄されますが、便、汗、涙、唾液などから排泄されるものもあります。高齢者では、腎機能が衰えている場合も多くあり、腎臓から排泄される薬の排泄速度が遅くなり【薬の作用・増強】が考えられます。これもオンライン模試で登場しましたので、得点に結びつけてくださった方が多くおられるとおもいます。

【解答】1,3,4

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