介護支援専門員、ケアマネ

第13回 問題36

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【問題36】次の疾病と感染症又は病原体との組合せについて、より適切なものはどれか。3つ選べ。

1 帯状疱疹—-水痘

2 子宮頸がん—-ヒトパピローマウイルス

3 萎縮性胃炎—-ヘリコバクター・ピロリ菌

4 肺がん—-ノロウイルス

5 肝細胞がん—-A型肝炎ウイルス

【用語解説】

●帯状疱疹
水ぼうそうを起こす原因ウイルスと同じ水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって起こる病気です。
治ったといってもウイルスが消滅したわけではなく、体の神経節(しんけいせつ:神経の細胞が集まった部分)に隠れて、復活の機会を狙い、長い場合は何十年も潜伏し続け、免疫力が低下した時にウイルスが復活します。免疫力が低下する原因には、過労やケガ、大きなストレス、病気、手術、免疫抑制薬の使用、高齢化などがあります。
免疫力の低下によって復活したウイルスは、神経節から出て活動を再開し、皮膚に帯状の水ぶくれをつくります。この帯状の症状から「帯状疱疹」といわれます。

●子宮頸がん
子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる部分から発生する。子宮の入り口付近に発生することが多いので、普通の婦人科の診察で観察や検査がしやすいため、発見されやすいがん。

●ヒトパピローマウイルス
ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染症で、子宮頸部に感染すると子宮頸がんに進行することがある。HPVは乳頭腫といういわゆるイボのウイルスで150種類以上あり、皮膚につくタイプと粘膜につくタイプがある。

●萎縮性胃炎
胃酸や消化酵素を製造していた胃の粘膜が傷んで、だんだん薄くなる状態を萎縮性胃炎と呼ぶ。胃の粘膜に棲みついたピロリ菌が発生するアンモニアや毒素、あるいはピロリ菌自身の免疫反応により萎縮性胃炎が発生するといわれている。

●ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌の正式名)
ピロリ菌の最も大きな特徴は、酸素の存在する大気中では発育しないことで、酸素にさらされると徐々に死滅します。乾燥にも弱く、グラム陰性桿菌に分類されます。大きさは0.5×2.5〜4.0μmで、数本のべん毛を持ち、胃の中を移動します。ピロリ菌が強酸性下の胃の中で生育できるのは、胃の中にある尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、アンモニアで酸を中和することにより、自分の身の周りの酸を和らげて生きています。

●肝細胞がん
肺がんや子宮頸がんと並び、主要な発生要因が明らかになっているがんの1つ。最も重要なのは、肝炎ウイルスの持続感染です。ウイルスの持続感染によって、肝細胞で長期にわたって炎症と再生が繰り返されるうちに、遺伝子の突然変異が積み重なり、肝がんへの進展に重要な役割を果たしていると考えられています。肝炎ウイルスにはA、B、C、D、Eなどさまざまな種類が存在しています。肝がんと関係があるのは主にB、Cの2種類です。

●A型肝炎ウイルス
肝炎ウイルスは食品や水を介して感染する肝炎ウイルスで、ノロウイルスと同様に、食品の中では増殖しない。ウイルスはAからEの5種類に分けられるが、A型肝炎ウイルスによる肝炎は、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによる肝炎と異なり、慢性化することはほとんどない。

【解説】

問題 36【難しい問題】

疾病の発病要因には大きく、遺伝子的素因や加齢減少による『遺伝要素』と、化学物質や病原体などよる『外部環境要因』、そして、食習慣や運動・休養・思考などの『生活習慣要因』があげられます。ケママネージャー試験の学習では、がん、脳卒中、心疾患、高血圧、糖尿病などは、この生活習慣に起因する疾患として、【生活習慣病】という位置づけとなることの理解が大切です。また、がんの発症要因は1つではありません。

 ◆ 喫煙

 ◆ 食物、栄養および運動

 ◆ 感染症

 ◆ その他

20年本試験においても、問題42で、がんと感染症の関連を問う出題が見られました。

子宮頸がんのワクチンは一般の医療機関でも接種が可能となり、時代の動きにも受験生さんは目を向ける必要があるといえそうですね。

1○ 【5訂 第3巻45P】

設問のとおりです。

こどもの頃、水疱瘡ってかかりましたよね??その頃のこと、覚えておられるでしょうか。帯状疱疹はその、水痘、帯状疱疹ウイルスの再活性化によって起こるウイルス性疾患です。罹患した当時から潜伏していたウイルスに対する免疫能が低下してきて、2回目に出現すると帯状疱疹として発症!!恐るべき、潜伏力です。昨年の本試験でも、問題39で帯状疱疹についての出題がありました。

オンライン模試Ver.3.3にも登場しましたね。

2○ 【5訂 第3巻234P】

設問のとおりです。

3○ 【5訂 第3巻234P】

設問のとおりです。

4× 【5訂 第3巻233~234P】

解説不要の設問といえるでしょう。

5× 【5訂 第3巻233~234P】

ここで、最後まで迷いに迷ったというメールもたくさんいただきました。設問の、【A型肝炎ウイルス】という部分が誤りになります。A型肝炎ウイルスは、感染しても大部分が治ってしまい、慢性化することがないので後に肝がんを発症することはほとんどないとの見解です。肝がんには、肝臓そのものから発症した原発性肝がんと、他の臓器のがんが肝臓に転移した続発性肝がんとがあります。大阪府立成人病センターの発表データにとると、原発性肝がんの8割以上は、肝細胞がんが占めるとされ、また、肝細胞がんはウイルス性肝炎(B型、C型)、肝硬変を合併しているとの結果から、肝細胞がんの原因の9割はウイルス感染の結果としています。

【解答】1,2,3

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