介護支援専門員、ケアマネ

第13回 問題27

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【問題27】高齢者のリハビリテーションについて適切なものはどれか。2つ選べ。

1 高齢者に多い骨折は、大腿骨頸部骨折、脊椎圧迫骨折、橈骨遠位端骨折などであり、転倒事故に関連するものが多い。

2 がん疾患などで終末期にある者は、治療の効果が期待できないため、リハビリテーションの適用とはならない。

3 糖尿病の罹患年数が長いと、下肢末梢の知覚障害などを呈するため、転倒予防に配慮する必要がある。

4 拘縮とは、関節包や靭帯など関節を構成する組織や周囲の組織が伸縮性を失い、正常の関節の動きが阻害された状態をいい、心身の障害が軽いほど起こりやすい。

5 高齢者に多い変形性ひざ関節症は、痛みや歩行障害をきたし、リハビリテーションが必要になるが、人工関節置換術の適応とはならない。

【用語解説】

●大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)
腿骨は股関節からすぐのところ(大腿骨頸部)で曲がっています。人間はその曲がった大腿骨で体を支えていますが、曲がったところは転倒や転落の時に外力が集中しやすく、骨折しやすい。
この骨折は骨粗鬆症で骨がもろくなった高齢者に多発することで知られてりるが、年間10数万人が受傷し、多くの方が骨折を契機に寝たきり、閉じこもりになってしまうので社会問題となっている。
医学的には、病態が大きく異なりるため、関節の中で折れる場合(大腿骨頸部内側骨折)とそれよりもう少し膝側の関節外で折れる場合(大腿骨頸部外側骨折)の2つに分けている。

●脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)
骨粗しょう症(骨がもろくなる病気)の方によくみられる、せぼねが押し潰されるように変形してしまう骨折。
寝返りをうつ時や、起き上がる時等に背中に痛みが出ることが特徴。

●橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)
手のひらをついて転んだり、自転車やバイクに乗っていて転んだりしたときに、前腕の2本の骨のうちの橈骨(とうこつ)が手首のところ(遠位端)で折れる骨折。

●糖尿病
血糖値が高くなる病気。(上手くブドウ糖を取り入れられない病気)
糖尿病は4つのタイプに分けられます。
・1型糖尿病
膵臓がインスリンをほとんど、あるいは全く作らないために体の中のインスリンの量が絶対的に足りなくなって起こる糖尿病。
・2型糖尿病
インスリンの量が不十分で起こる糖尿病と、肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用をあまり感じなくなるために、ブドウ糖がうまく取り入れられなくなって起こる糖尿病がある。食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多い。日本の糖尿病者の95%がこのタイプ。
・遺伝子の異常やほかの病気が原因となる糖尿病
遺伝子の異常や肝臓・すい臓の病気、感染症、免疫の異常などの他の病気が原因となって引き起こされるもの。薬品が原因となる場合もある。
・妊娠糖尿病
妊娠時に現れる糖尿病。新生児に合併症が出ることもある。

●罹患(りかん)
疾病に新たにかかること。ある期間に発生した特定の疾病の新患者数の、その疾病にかかる危険にさらされた人口に対する比率を「罹患率」といい、ある時点、ある地域内の全患者数をその地域の人口で割った有病率とは区別して用いられる。

●拘縮(こうしゅく)
関節が他動的かつ自動的に可動域制限を起こしている状態。一般的には関節を形成する軟部組織の変化による関節の運動制限を指す。拘縮のほとんどは後天性による。拘縮の原因には、長期臥床(寝たきり)による廃用症候群、骨折の後遺症、脳血管障害や脊髄損傷などによる麻痺などがある。また、浮腫や疼痛などにより、関節の動きを長期間制限していた場合などにも起こる。

●関節包
外層の線維膜と内層の滑膜からなり、線維膜は骨膜の続きで丈夫で神経に富んでおり、滑膜は血管に富む結合組織で滑液を分泌する。滑液は潤滑油の役目と関節軟骨に栄養を供給する。

●靭帯(じんたい)
骨と骨とをつなぎ離れないようにしているすじ状の結合組織

●変形性ひざ関節症
原因は関節軟骨の老化によるものが多く、肥満や素因(遺伝子)も関与している。また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することもある。加齢による場合は、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、遣い過ぎによりすり減り、関節が変形する。
膝の痛みと水がたまることが主な症状となる。

●人工関節置換術
関節のいたんでいる部分を取りのぞき、人工の関節に置きかえる手術。

【解説】

問題 27【易しい問題】

さあ、がんばって2問目!!と問題を見たら、またしてもリハビリテーション。不安になってここで、ちょっぴりペースを乱された受験生さんも多かったのではないでしょうか。(試験作成者の狙いかもしれません。)あせらず、あせらず、1問:2分のペースでいきましょう。

過去の本試験でも、あれれ?リハビリ関連ちょっと多いぞ??というパターンは、何度かありました。18年度では、問題29、37、38。19年度では、問題31、34、36。医療系サービスとしての出題でしたが言い換えれば、ケアとしてのリハビリテーションから2問でも、OKということになります。介護保険制度も誕生して早くも10年。このへんで、基本を問い直すといった試験内容になったのではとも推測できますね。

1○ 【5訂 第3巻37~38P】

ご高齢者には、日々の生活の中に転倒のリスクがいっぱい!です。骨がもろくなっているところに、視力低下、筋力・平衡感覚の低下、薬物副作用、不適切な生活環境などなどなど。チーム一丸となってこれらと戦うには、ライティング、床、手すり、電気コード、薬剤、家具のレイアウトとチェックポイントをきちんとあげて1つ1つの丁寧な確認が必要ですね。

2× 【5訂 第3巻91P 第4巻361P】

利用者さんがリハビリテーションを受ける目的、場面は実にさまざまです。QOLの向上を目的としたリハビリテーションも存在します。在宅生活が困難な場合は介護療養型医療施設において、在宅での生活が可能であれば診療所や病院の外来に通って、あるいはデイケアなどの通所サービスが。訪問リハビリテーションにおいては、外来・通所が困難な人、実際の生活場面でのかかわりが効果的な人、障害等が重度な人、環境調整や整備が必要な人などが対象となっています。医療系サービスには位置しませんが、療養通所介護においても機能訓練が行われていることからも、がん末期、イコール、リハビリ不要でないことがご理解いただけることとおもいます。

3○ 【5訂 第3巻32P】

糖尿病の3大合併症の1つである糖尿病性神経症は、末梢神経症状と自立神経症状とに分類されます。末梢神経には、痛みや温度を感じる感覚神経と、手や足などを動かす運動神経とがあります。感覚神経が障害されると、手や足の先がじんじんしたり、しびれや痛みを感じます。また、運動神経が障害されると筋肉にちからが入りにくくなったり、目を動かす神経にも障害が現れるとされます。残念ながら転倒のリスクが高まる可能性が高いといえます。転倒予防への配慮が必要です。

4× 【5訂 第3巻92P】

心身の障害が重いケースほど、拘縮を起こしやすいとされます。あわてて設問を読み、○にしてしまった・・・。こんな受験生さんも、多かったのではないでしょうか?基礎問題では、得点を取りこぼさないことが大切です。このあと登場する難問で取り返すのは、どなたにとっても大変なことだからですね。オンライン模試Ver.3.3でも出題しましたので、【拘束】は得意問題という方も多かったかもしれません。

5× 【5訂 第3巻38~39P】

加齢とともに、関節も衰えます。加齢や疾病により骨や軟骨が磨耗したり、変性して痛みがとれず、日常生活にも支障を来たすような場合に、傷んだ関節を合金やポリエチレンなどの人工物に取り替える手術が、人工関節置換術です。内服、外用薬、理学療法、装具などによる保存療法に効果がみられない人が原則として対象となります。

【解答】1,3

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