第12回 問題39
【問題39】次の記述のうち適切なものはどれか。2つ選べ。
1 ノロウイルスの消毒には、低濃度のエタノールを用いる。
2 肺結核は二類感染症であり、診断した医師は、直ちに保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
3 胃ろうによる経管栄養を行っている高齢者では、口腔ケアは必要ない。
4 帯状疱疹の原因は細菌感染であり、治療には抗菌薬が必要である。
5 高齢者では唾液の分泌量が減り、う蝕や歯周病が起こりやすい。
【用語解説】
●ノロウイルス
ノロウイルスは乳幼児から高齢者に至る広い年齢層で急性胃腸炎を引き起こすウイルスです。
下痢だけではなく嘔吐を引き起こすことが特徴です。下痢であれば、ウイルスはトイレで流されるため広がりにくいのですが、嘔吐の場合、適切に処理・消毒をしないとウイルスが床に残ります。乾燥しホコリと共に空気中に舞い上がり感染が広がっていくこともあります。
ノロウイルスはエンベロープ(宿主細胞の膜)を持っておらず、アルコールや高温に対する抵抗性が強いことが特徴です。また、乾燥や酸にも強く、水中でも長時間生きていることができる非常に厄介なウイルスなのです。そのため、感染力があり、しばしば集団感染を引き起こしてしまいます。
ノロウイルスには多数の遺伝子型が存在するため、同じ人が複数の違った型のウイルスに感染することがあります。さらに、感染が腸粘膜での局所感染なので免疫の持続時間が短いことも特徴です。
●肺結核
結核菌という細菌を原因とした感染症。結核菌が体内に入り、肺で増殖する。
飛沫感染により、肺結核を患っている方のせきやくしゃみなどから排出された結核菌を吸い込んでしまい、肺にまで菌が及ぶと、感染する。
免疫によって結核菌の活動は停止するが、死滅せず、そのまま体内にとどまるケースが多くある。この、体内に残った結核菌は、身体の免疫力が低下すると、再び活発化し、肺結核を発症させてしまうことがある。これを既感染発病という。
免疫力が低下してしまう疾患がある方や、お年寄りなどは注意が必要。とくにお年寄りは、若い頃に感染していることが多く、その菌が再び活発化してしまうことも少なくない。
●二類感染症
急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る)、鳥インフルエンザ(H5N1)
●胃ろう(PEG)
PEG(ペグ)とは、内視鏡を使って「おなかに小さな口」をつくる手術のことです。
つくられたおなかの口を「胃瘻(胃ろう)」言い、また、取り付けられた器具を、「胃ろうカテーテル」といいます。(カテーテル=管、チューブ)
口から食事のとれない方や、食べてもむせ込んで肺炎などを起こしやすい方に、直接胃に栄養を入れる栄養投与の方法。
●帯状疱疹
水ぼうそうを起こす原因ウイルスと同じ水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって起こる病気です。
治ったといってもウイルスが消滅したわけではなく、体の神経節(しんけいせつ:神経の細胞が集まった部分)に隠れて、復活の機会を狙い、長い場合は何十年も潜伏し続け、免疫力が低下した時にウイルスが復活します。免疫力が低下する原因には、過労やケガ、大きなストレス、病気、手術、免疫抑制薬の使用、高齢化などがあります。
免疫力の低下によって復活したウイルスは、神経節から出て活動を再開し、皮膚に帯状の水ぶくれをつくります。この帯状の症状から「帯状疱疹」といわれます。
【解説】
【解答】2,5