介護支援専門員、ケアマネ

第15回 問題30


01-green

【問題30】感染症について適切なものはどれか。3つ選べ。

1 介護サービス利用者が肺結核で排菌していることが判明した場合、その感染リスクに応じて、介護者など接触者に対する健診が実施される。

2 高齢者の下痢では、緩下剤(かんげざい)による可能性もあるので、服薬状況などを確認する。

3 ノロウイルス感染者の便の処理の際は、マスクや手袋の装着の必要はないが、処理後にアルコールで手指をよく拭いておく。

4 高齢者への肺炎球菌ワクチンは、接種後5年を経過しないと再接種できない。

5 肺がんの90%以上は、アルコール性肺炎から進展する。


【用語解説】

●排菌
結核を発病している人が、体の外に菌を出すことを「排菌」といいます。
せきやくしゃみをすると飛沫(しぶき)と共に結核菌が飛び散り、それを他の人が吸い込むことにより「感染」します。

●緩下剤
作用が弱め、緩やかな下剤のことで、塩類下剤、膨張性下剤、刺激性下剤に大きく分けられます。
現在、薬局などで市販されている下剤や、病院で処方される下剤の多くはこの緩下剤です。

●ノロウイルス
ノロウイルスは乳幼児から高齢者に至る広い年齢層で急性胃腸炎を引き起こすウイルスです。
下痢だけではなく嘔吐を引き起こすことが特徴です。下痢であれば、ウイルスはトイレで流されるため広がりにくいのですが、嘔吐の場合、適切に処理・消毒をしないとウイルスが床に残ります。乾燥しホコリと共に空気中に舞い上がり感染が広がっていくこともあります。
ノロウイルスはエンベロープ(宿主細胞の膜)を持っておらず、アルコールや高温に対する抵抗性が強いことが特徴です。また、乾燥や酸にも強く、水中でも長時間生きていることができる非常に厄介なウイルスなのです。そのため、感染力があり、しばしば集団感染を引き起こしてしまいます。
ノロウイルスには多数の遺伝子型が存在するため、同じ人が複数の違った型のウイルスに感染することがあります。さらに、感染が腸粘膜での局所感染なので免疫の持続時間が短いことも特徴です。

●肺炎球菌
免疫のはたらきが十分でない、乳幼児や高齢者に様々な病気を引き起こします。肺炎球菌によって起こる主な病気は、肺炎、気管支炎等の呼吸器感染症や副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎、菌血症など。本来であれば菌が検出されない場所(血液や脳脊髄液など)から菌が検出される病態(髄膜炎、菌血症など)を特に侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)と呼びます。侵襲性肺炎球菌感染症は5歳以下の乳幼児と65歳以上の高齢者に多く発症することが知られています。また、細菌による感染症はペニシリンなどの抗生物質により治療しますが、近年は抗生物質が効かない薬剤耐性菌が増えているため、治療が困難になっているという問題があります。そこで、ワクチンにより、病気をあらかじめ予防することが以前にも増して大切になってきています。現在、肺炎球菌感染症を予防するワクチンとしては、2歳以上で肺炎球菌疾患にかかるリスクが高い人および高齢者を対象とした23価肺炎球菌多糖体ワクチンと、9歳以下の小児を対象とした7価肺炎球菌結合型ワクチンの2つが発売されています。

【解説】

【解答】1, 2, 4


01-green


このページの先頭へ