介護支援専門員、ケアマネ

第14回 問題27

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【問題27】次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。

1 肝硬変の末期では、血小板数の減少などにより、出血傾向をきたしやすい。

2 終末期においては、嚥下機能が低下し肺炎を起こしやすいので、口腔ケアは控える。

3 糖尿病の内服治療をしている場合には、低血糖症状が認知症の進行と間違われることがある。

4 痛風や高尿酸血症では、尿酸排泄促進剤を服用していれば、飲酒を慎む必要はない。

5 パルスオキシメータにより簡便に酸素飽和度が測定できるが、脈が検知されないときは、表示された数値の信頼性は乏しい。

【用語解説】

●肝硬変
B型やC型肝炎ウイルス感染、アルコール、非アルコール性脂肪性肝炎などによって肝臓に傷が生じ、その傷を修復するときにできる「線維(コラーゲン)」というタンパク質が増加して肝臓全体に拡がった状態のこと。肉眼的には肝臓全体がごつごつして岩のように硬くなり、大きさも小さくなってきます。そこで肝硬変になると、肝臓が硬いために起こる腹水や食道静脈瘤と、肝臓機能が低下するために起こる肝性脳症や黄疸が問題となります。
症状
・くも状血管拡張:首や前胸部、頬に赤い斑点ができる。
・手掌紅班:掌の両側が赤くなる。
・腹水:下腹部が膨満する。大量に貯まると腹部全体が膨満する。
・腹壁静脈拡張:へその周りの静脈が太くなる。
・黄疸:白目が黄色くなる。
・羽ばたき振戦:肝性脳症の症状のひとつで、鳥が羽ばたくように手が震える。
・女性化乳房:男性でも女性ホルモンがあるが、肝臓での分解が低下するため乳房が大きくなる。
・丸萎縮:男性で女性ホルモンが高くなるため睾丸が小さくなる。

●血小板
血液の成分の一つで、欠陥の損傷に反応し、出血を止める働きをする。
血小板の数が減少したり、その機能が低下すると、出血が止まりにくくなります。青あざができたり、出血がなかなか止まらなかったり、鼻血が出やすいなどの状態が現れる。血小板の数が多くなりすぎると、血液が固まりやすくなり、血液が固まってできた血栓が血管をふさいで、脳梗塞や心筋梗塞などの危険性が高くなる。

●嚥下(えんげ)
外部から水分や食物を口に送り込み咽頭と食道を経て胃に送り込む運動を『嚥下』という。

●糖尿病
血糖値が高くなる病気。(上手くブドウ糖を取り入れられない病気)
糖尿病は4つのタイプに分けられます。
・1型糖尿病
膵臓がインスリンをほとんど、あるいは全く作らないために体の中のインスリンの量が絶対的に足りなくなって起こる糖尿病。
・2型糖尿病
インスリンの量が不十分で起こる糖尿病と、肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用をあまり感じなくなるために、ブドウ糖がうまく取り入れられなくなって起こる糖尿病がある。食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多い。日本の糖尿病者の95%がこのタイプ。
・遺伝子の異常やほかの病気が原因となる糖尿病
遺伝子の異常や肝臓・すい臓の病気、感染症、免疫の異常などの他の病気が原因となって引き起こされるもの。薬品が原因となる場合もある。
・妊娠糖尿病
妊娠時に現れる糖尿病。新生児に合併症が出ることもある。

●低血糖症
血糖値の低い状態及び血糖値が正常でないことから起こる症状をいう。
疲れやすい・眠たい・動悸・情緒不安定・集中力がない等、様々な症状を訴えます。元々、糖尿病など糖の耐性の弱い体質の人や不規則な食事を摂る人に起こり易いとも言われている。

●認知症
認知症とは、脳の疾患により、記憶、思考、見当識(時間・場所等の感覚)、理解、計算、学習能力、言語、判断を含む認知機能の低下した状態をいいます。意識の混濁はなく、認知機能の障害は通常、慢性、進行性で、情動の統制、社会行動あるいは動機づけの低下を伴います。臨床的には、これらの症状が、日常生活を損なう程度に達した状態が6カ月以上続いたときに、認知症の診断が考慮されます。従って、認知症は複数の症状を呈している状態であって疾患名ではありません。
認知症を引き起こす原因疾患には、① 脳出血、脳梗塞、脳動脈硬化のような血管病変、② アルツハイマー病(P.6)、レビー小体病(P.7)、前頭側頭葉変性症のような脳細胞の変性疾患)、③ 梅毒、AIDS 等の感染症、④ 頭部外傷、⑤ 薬物中毒などがあります。

●痛風
身体の中に「尿酸」が大量にたまる病気。

【解説】

問題 27【易しい問題】

1問目、ちょっぴり手ごたえあっていいかんじ♪ と思ったら、2問目にいきなり超・シャッフル型ノーヒント問題です。なんか意気消沈・・・こんな受験生さんも多かったのではないでしょうか?こんな時はあせらずに、まずは5つの設問をじっくり順番に読むことが基本。かならずどこかにヒントや手がかりが隠れています。【時には・消去法で対応】。これも合格テクニックの1つです。

1○  解説参照 

肝炎やアルコールが原因で肝臓の細胞が破壊され続けると、再生能力の高い臓器とされる肝臓にもやがて限界が・・・。肝硬変になると肝臓内部の血液循環に異常が生じ肝臓の働きが果たせなくなります。

肝硬変により肝細胞の繊維化が起こると肝臓の血流が低下して、肝臓の上流にある【脾臓】に血液がたまり脾臓が肥大。脾臓の働きにより血液が分解されているので、血液がたまることにより血小板も壊される結果となりその数は減少するのですね。ケアマネ本試験において、【出血傾向】はなぜかよく登場しますので、血小板数の減少→出血傾向 の仕組みも、ぜひしっかりと理解を。

2× 【5訂 第2巻110P】

解説は不要ですね。でも、緊張していると、設問を最後まで読まずに正解! と してしまいがちな問題です。

3○ 【5訂 第2巻130P】

低血糖症状はさまざま。強い空腹感、冷や汗、ふるえなどともに、生あくび、落ち着かないかんじ、うつ様症状、認知症様症状、錯乱などもみられる場合があります。落ち着いた対応が必要ですね。

4×  解説参照 

Q:そもそも、【尿酸】ってなんなのでしょう??

A:ヒトの体の中の細胞には遺伝子がはいっています。この遺伝子をつくっている核酸という物質の中に含まれるプリン体の分解産物が、【尿酸】です。血液中の尿酸値が高い状態が続くと尿酸塩というかたちで結晶となり関節に沈着。これが激しい痛みを伴う、【痛風】です。愛飲家にはつらい制約ですが、アルコールの過剰摂取は厳禁です。

5○  解説参照 

オキシメータとは【酸素測定器】のこと。 そして、パルスとは、どくん、どくんと波打つ【拍動】のこと。両者の測定をするのがパルスオキシメータ。簡単にいえば、体内の酸素レベルがわかる機器なのですね。TVドラマなどで、指先に洗濯ばさみみたいなのが付いているのをご覧になったことがないでしょうか?

正しく測定できているかどうかの目安の1つに、脈拍があります。冬場などで指先が冷たい場合など誤作動も起こりえますので十分な配慮が必要となります。

昨年の問題34にも登場している、パルスオキシメータ。今年もちゃっかり? 登場であります。でも・・・。  これって、2回連続で登場した、あのヒッププロテクターと同じパターン。

1回登場した、ちょっと耳慣れない専門用語は、どうやら要チェックといえそうですね!!

【解答】1,3,5

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